もし五感のどれかを捨てなければならなくなったら

4、5年前に問われた質問。時を経て再考する。
嗅覚、味覚、触覚(また時には聴覚も)は記憶を立体的に蘇らせる力があると思う。その時の細かな感情の動きまで体内に流れ込むような。
一方、視覚や聴覚のみの記憶はどこか映画スクリーンの向こう側で起きているような、なんとなく他人事みたいな、その時自分が感じた感情までは思い出せない薄っぺらさがあるように思う。

視覚があることで被る不利益。人の視線を感じることがなければもう少し感情に素直に生きられたかもしれない。察して欲しいと相手には期待するくせに自分は相手の表情や言葉が100%純度ものだと受け取り、どんどん相手の本音と認識がズレたり、見えない感情を見ようとして被害妄想爆発させてしまったり。どんなに他が良くても見た目の好き嫌いで判断を下されてしまったり。

視覚には騙されてばかりだ。視覚がない世界なら、もっと違う判断基準で生きてただろう。今の私なら視覚を捨てるかな。

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